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撒き餌の仕方は餌取りの状態で変わる

会社に植えてある桜です。桜の花が5~6輪咲くと開花宣言と言うようですが、、

一応、開花宣言です、、うーん。ちょっと物足りない。来週あたりですかね。

さて、前回ブログにて『流れは釣り具のひとつだ』を書かせていただきました。

流れがないから魚がいない、釣れないわけではない。

ただ、確かに流れのある場所よりは難しい。流れだけに頼るのではなく流れを道具の一つとして捉える会長の釣り理論を書きました。

さて、今回はいよいよ会長のチヌ実釣に入ります。

 

渡礁してから約1時間が経過したときであった。

撒き餌の第一投は沖合約15mの位置である。

続いて素早くダンゴ状に丸めた沖アミをウキの手前に打ち込み、仕掛けを撒き餌の近くに引いてきた。一連の動作が、実にリズミカルに行われている。さすがに名手だなぁと感服させられた。

 

松田さんのウキを見ていると、ハリスの行方とハリスの状態がよくわかる。

始めは沖側にのびていたハリスが、次第に右手へ移動していく。流れとまでは言えないが、どうやら潮は緩やかに移動しているようだ。

 

ウキがほぼ1m移動した時点で松田さんは仕掛けを巻き上げた。

見ているとチラチラと白く小さなものが舞いながら上がってくる。

ウキに変化が出なかった通り、刺し餌はそのままであった。

餌取りにつつかれてもいない。

 

第2投も同じ位置に打ち込まれた。釣り方は1投目と同じ要領である。

2投目の仕掛けも巻き取られた。見ると、刺し餌がついていない。

「沖にもまだ(餌取りが)おるな」と松田さんがつぶやく。

 

続いて3投目を打ち込んだ松田さんは撒き餌の打ち込みを増やした。

足元に打つと同時に、仕掛けの近くに4杯も撒いたのである。

このときも刺し餌はかすめ取られていた。

4投目も同じやり方であったが、今度は刺し餌が残ったままだ。

 

「よし」とつぶやいた松田さんは5投目を振り込んだ。

ところが、今回は磯際に撒き餌を打ち込まない。仕掛けの手前へ3杯、三角形を作るようにその頂点に当たる位置に打ってウキをその中心に引いてきて仕掛けを馴染ませている。

 

まもなくウキが見えなくなる、と思った瞬間、松田さんの右腕が大きく天を突いた。

と同時に竿が腰まで曲がる。

かなりの時間をかけて取り込まれたのは、まぎれもなくチヌであった。

50㎝は優に越えている。取り込みが完了したのは釣り開始10分後であった。

Question(以下Q)「松田さん、ちょっと教えてください。」

会長(以下、太文字)また難しいことを言い出すんと違うやろな?

「いや、そんなんじゃありませんよ。このチヌが釣れる前、松田さんは「よし」と言ったように聞こえたんですがね」

そんなことをいうたか?

「確かに聞こえたんですがね。私は松田さんがまた新しい釣法でも考え出したのかなぁと思っていたんですよ」

新釣法か。そんなことは考えとらん。けども、わしは常に現場に合うた釣りをすることは事実やな。「よし」と言うたんかは覚えとらんけど、言うたんやったら今日ここでの釣り方を決めたからやろうなぁ。

「なるほど。だから撒き餌が違ってきましたからねぇ」

ほう、そうか?

「「よし」というまでは磯際にも沖アミを撒いていたでしょう?それが「よし」と言ってからは打たなくなりましたよ」

あー、あれか。あのときに「よし」というたんか?

「そうです。磯際に打たない代わりに、沖に打つ撒き餌を増やしましたから。あれはなぜです?」

そらぁ、チヌを釣るためや。

「またまた。それはわかっていますが、チヌを釣るために、なぜやり方を変えたのか教えて下さいよ。」

すまんすまん。ところで、ここの餌取りを見とって、君はどないに考える?

「と言われましてもねぇ。教えてもらったとおり、メバルやスズメダイの子なんかでしょう?」

種類はそうやけど、動きをどう思う?

「そうですねぇ、ちょっと緩慢だな、と思いましたよ。」

そうやろう?そのうえ、ダンゴ状になって浮いてるんと違うか。

「そう思います」

最初に足元に集めたんは、種類と動きを見るためやったんよ。集めてみると動きがのろいし、浮いたまんまで沖アミを拾うてる。落ちていく沖アミを追いかけようとせんわな。

そらぁ中には追いかけるんもおるかもしれん。そやけど数は少ないはずや。

「なるほど」

動きが素早いんやったら、付近におる餌取りをできるだけ足元に引き付けておくようにした方がよい。そやけど、様子を見た限りではのろいし、浮いてたわな。他に泳ぎの速い活発な餌取りは見えなんだ。近くにおる餌取りが全部こんなんやったら、別に気にすることはないと思うたんよ。

「あー、それで磯際に撒き餌をするのをやめたんですね?」

そうよ。そんで沖で試してみたんや。そしたら、やっぱり考えたとおりやったわな。

「3投目では刺し餌を取られたけど、4投目は取られなかった?」

うん。3回目のときは、まだ全部が浮ききっとらんかったんやろうなぁ。そやけど、続けて沖に撒き餌を多めに撒いたけん、ほとんどの餌取りがそれに目を向けたんやろうと思うわ。

4回目に振り込んだ刺し餌が無事やったんはそのためや。

「なるほど」

少々多めに撒き餌を打ってるけん、こぼれ落ちていく沖アミもあったはずやしな。

そやからチヌが寄ってきたんやと思うわ。

「餌取り対策としてグレ釣りのときに教えてもらった一つの方法ですねぇ。」

そうや。現場の状況を見て、それに合う撒き餌の仕方と釣り方を、現場で考えないかんというたはずや。マニュアル一点張りでは釣れんこともあるでな。

「わかりました。」


 

チヌの時期が始まっていますね。

会長のチヌ釣り戦術をどんどん更新していきますので

是非ご自身の釣行時に参考にしてみてください。

ー松田稔のグレ・チヌ攻撃的戦術 1994年出版より引用ー

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コメント: 4
  • #1

    ジャン (火曜日, 02 4月 2019 14:36)

    桜の咲きぐあいは場所場所ですね。
    今回も時間かけて読ませていただきました。
    現場を、良くみて、その時その時、考えるってことですね!
    それは釣り以外にも言えることですよね。勉強になりました。
    考えることは本当に大事ですね。仕事も趣味も、思いっきり考えながら、楽しみたいなと思います。

  • #2

    芦屋のチヌ釣り師。 (火曜日, 02 4月 2019 16:02)

    餌取りの動きを観察して撒餌の撒き方を変えることもヒントになる。
    良く見て観察する!良い勉強になりました。
    ありがとうございます。

  • #3

    有限会社エムアンドエム (火曜日, 02 4月 2019 16:55)

    ジャン様

    コメントありがとうございます。
    考えることは本当に大事だと思います。
    釣りもそうですが、仕事も趣味も共通してその時々で
    考えながら楽しめたらすばらしいと思います。
    ジャン様も仕事も趣味も、思いっきり考えながら、楽しんで頂けたらと思います。

  • #4

    有限会社エムアンドエム (火曜日, 02 4月 2019 17:23)

    芦屋のチヌ釣り師。様

    この度はコメント頂き有難うございます。
    釣りが少しでも楽しめるよう少しでもお役に立てたらと思っております。
    今後もこのようなブログを更新していきますので是非ご覧ください。