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グレにオキアミ食わして初めてマキエサといえるんや

撒き餌を大量に使う時代が到来し、その結果として小魚の数が非常に増えた。

刺し餌は瞬時にして盗られ、なかなかグレの口元まで届かない。

そんな中にありながら、松田はエサ盗りを一向に嫌わない。

逆に、歓迎しているフシも見受けられる。

 

前回までのブログは刺し餌と撒き餌の合わせ方の基本でした。

前回のブログはこちらをクリック!

さて、今回からはエサ盗り対策についてです。

それではいってみましょう!


「エサ盗りの活性が高いとグレの活性も高い」

 

〇エサ盗りが100尾いたらオキアミを150匹撒け

 

よほどの厳寒期を除いて、現代の磯釣りは、エサ盗りとは切っても切れない関係にある。

時期によってエサ盗りの数は増えたり減ったりするものの、グレの活性が高いときはエサ盗りの

活性も高い。エサ盗りの活性が低ければ、グレの活性も低いから釣りづらくなる。

だから、松田は、エサ盗りの活性が低いと顔をしかめてこういう。

「なかなか楽させてくれんのう」

逆に、磯に上がって数回撒き餌しただけで小魚がチラチラすると、実に嬉しそうな表情を見せる。

「なんぼ、撒き餌しても、イワシみたいなんが、ピロピロっとだけしてみぃ。もう釣る気がのうなってしまうわ。」

という言葉を借りるまでもなく、一日釣りをして刺し餌のオキアミが5匹あれば事足りたという状況は、我ら凡人でも願い下げにしたい。

では、グレの活性も高いがエサ盗りの活性も高いとき、松田は基本的にどんな考え方で臨んでいるのだろう。

まず、エサ盗りが100尾いたら、オキアミを150匹以上撒けという。

エサ盗りが100尾いるのにオキアミを100匹しか撒かなかったら、それらは海面に届くとすぐに食い尽くされる。エサ盗りの下にいるであろうグレの口には全く届かない。

それでは撒き餌としての役目を全く果たしていないことになる。

だから、エサ盗りの数よりずっと多いオキアミを撒かなくてはならない。

したがって、オキアミの一日分の使用量は通常の釣り人よりずっと多い。エサ盗りの多い時期は特にそれがいえる。

 

〇小魚は沖の深場を怖がる

 

エサ盗りである小魚は、文字通り小さい。

この小さいという特徴を利用して、彼から免れる方法がある。

一般に小さな魚は大きい魚を怖がる。

弱肉強食の世界に生きている以上、常に身を隠す障害物の近くを泳ぎ回っている。

裏を返せば、これは沖の深場を嫌っていることになる。

足元から深く、潮通しがいい磯なら、よほど活性が高くない限り出ていかない。

そこから、遠投釣りという釣法が生まれた。

ところが、とにかく遠投すればそれでもよしとする釣人が多い。

流れが速くても構いはしない。過去にそれで釣ったことがあるんだろう。

しかし、それはたまたまでしかない。松田が言う「釣れた」グレでしかない。

確かに、アジ、サバを除けば速い流れが好きな子魚はいない。だが、グレが間違いなく足元にいるのが分かっていて、しかも足元でしか食わないことがある。

中間距離でしか食わないこともある。

そんなときはどうするのか?

速い流れの中で遠投するのは、自分で釣れなくしているようなものだー松田に言わせるとそうなる。

グレがいて、撒き餌を拾っているのであれば、必ず攻める方法はある。

それが松田の言い分だ。

単に、小魚という一言でエサ盗り区分するのは乱暴だが、小グレも含めたエサ盗り対策としては、上図のようなやり方が有効になる。

エサ盗りの少ない沖の深場に刺し餌を沈め、撒き餌と合うところで刺し餌のタナを上げ、

グレのタナに合わせればいい。

ただし、この場合のエサ盗りには、ハゲ類やキタマクラ、アジ、サバを含んでいない。


ー松田稔のグレ釣りバイブル・釣ってなんぼや! 1997年出版より引用ー