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当たり潮も二枚潮も撒き餌と同じスジに乗せる

さて今回は早めの更新。会長の釣り講座!

前回から悪条件の場合の釣りのテクニックをお伝えしています。

前回は湧昇流。

速い潮が壁にあたって上に向かってしまう状況なのですが

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当たり潮と二枚潮。誰もが知りたい攻略法ですね。


「刺し餌にウキを引っ張らせる基本は変わらない」

 

〇速い当たり潮は潮のカベを利用

 

前回の湧昇流とは事情が異なり、本当は違うところでやりたいのだが、どうしてもそこで竿を出さないといけないときがある。いい例が競技会で、決められた時間内はそこで竿を出さなければならない。

その為にはどんな悪条件をも克服する必要がある。

この速い当たり潮も松田が実際に体験している。湧昇流ができるほど速い流れだったが、当たってくる潮では前回の攻略法が役に立たない。しかもエサ取りが非常に多い。

松田はこの時、潮のカベを利用した。当たってくる潮と、磯に当たって跳ね返る潮がぶつかるところにできるカベだ。

撒き餌は当然、ここに溜まる。それも上の方に集中する。

深いところを流れる潮は、上層ほど軽く、底層ほど重い。そのため、磯に当たったとき、底潮はまっすぐではなく、上方に跳ね返る。したがって、エサ取りも上層に集まる。

勝手に集まってくるのだから、撒き餌の投入点は気にする必要がない。仕掛けだけを沖に入れ、なじませてから手前に流してくる。もちろん、刺し餌を先行させ、仕掛けを斜めに張るのは欠かせない。

そんな状況でグレを仕留めた松田に、渡船の船長が感心していたとか。

〇いかに合わせるかがカギ

 

緩い当たり潮という状況も実際に松田が体験している。

シモリの近くで撒き餌と刺し餌を合わせれば、ほぼグレが食うとわかっているのだが、当たってくる潮だとそれが難しい。そのため、この磯は反対に流れる上げ潮が本命とされている。

やむなく、下げ潮で上がった松田は、左前方の磯から竿を出しているつもりで攻略した。

潮が流れる方向を読んで、シモリへ向かう位置に仕掛けを遠投する。そしてすぐ、道糸を沖側に膨らませる。逆にすると、仕掛けは陸寄りのコースを辿ってしまう。それだと、撒き餌とは合わない。

仕掛けを投入してもすぐに撒き餌を入れない。当たり潮で、しかも緩いにしろ風が吹いているから仕掛けが完全になじむまでの間、ウキが振られる可能性がある。仕掛けがなじみ、撒き餌と同じスジを流れると確認したところで初めて、仕掛けの後ろに撒き餌を入れる。後は竿先を高くして道糸に風の抵抗を受けさせる。すると、ウキの後を道糸がついてくる。

仕掛けが手前に近づくにつれて道糸を少しずつ巻き取り、シモリの近くまで流れたところで、撒き餌と刺し餌が合うと、グレが次々に食ってきた。

この場合のカギは、いかに仕掛けを撒き餌と同じスジに乗せるかにある。

ウキが流れるコースが潮の流れるスジと信じてはいけない。

どうしても仕掛けが潮スジに乗らなければ、ズレる程度を読んで、そのコースと交差するように撒き餌を打つ。合う時間は短いが、全く合わないよりはいい。

〇二枚潮ではビシを上げる

 

上層と下層で流れが異なる二枚潮というケースで、撒き餌と刺し餌を合わせるには修正し、答えを出すしかない。ここでは仕掛けの方に重点を置いて解説してみよう。

まず下図を見てほしい。

実線は、真下に沈むほど大きいビシを打った場合の仕掛けの状態を表している。薄い線は、軽いビシを使った状態だ。

勘違いしないでほしい。この図はビシは大きい方がいいと言いたいのではない。ビシの位置は上の方が良い事を表している。

刺し餌であるオキアミとそこからビシまでのハリスに底潮を受けさせ、ウキを引っ張らせようとしているのだ。合わせにくいにしろ、これをやらなければ撒き餌と刺し餌を合わせることは適わない。

ところが通常我々は。これとは逆の事をしていないだろうか?極力、ビシを下げて強制的にまっすぐ沈めようとする。しかし、大きなビシならそれが可能でも、グレが食い気を起こす小さいビシでは難しい。

もちろん大きいビシで強制的に沈めたほうがよく釣れるときは、松田もそうする。湧昇流はそうやって攻略した。

だが、小さいビシで食わせることができるのなら、わざわざビシを重くする必要は無い。

ビシが小さいと、当然水中のフケは多くなり、仕掛けを張ることはできなくなる。しかし、刺し餌にウキを引っ張らせることを優先しようと思えば、こうせざるを得ない。

フケたため刺し餌のタナが確保できないようなら、ウキ下を長くすればいい。

ー松田稔のグレ釣りバイブル・釣ってなんぼや! 1997年出版より一部引用ー